装丁のプロフェッショナルについて

本を手に取るとき、みなさんはどこに惹かれますか
学びたい分野だから、作者のファンだから、大賞作品だから、タイトルに惹かれて…人によってきっかけは様々でしょう。その中でも「装丁が好みだから」という方も多いのではないでしょうか?
 

 

今回は装丁のプロフェッショナルであると言われる“ルリユール”についてお伝えします。 

ルリユール( reliure)というのは本を綴じ直す、もう一度束ねるという意味です。フランスでは製本のことであり、独立した業界です。製本屋さん、製本職人はrelieurといいます。なかなか聞き慣れない言葉です
この言葉が頻繁に使われたのは17世紀末のヨーロッパです。印刷技術の発展に伴い、出版・印刷・製本の境界が曖昧になっていた状況を背景に、フランス国王ルイ14世は「出版・印刷・製本業者は互いの職分を超えてはいけない」との勅命を下しました。製本の権利を失った出版・印刷業者は独自で安価に本を売り出すために、仮綴じ本を出版するようになりました。このような仮綴じ本希少本の購入者が、装丁・製本を依頼するのがルリユール職人です。デザイン装丁・製本を施し、世界で一つだけの自分のための書物に仕上げてもらうのです。
印刷技術が発達した現在では伝統工芸となり、ルリユールという言葉自体が懐かしいものへと変化しました。それだけでなく、本自体が大きく姿を変え、電子書籍化が進み“本”の概念が大きく変わりましたが紙の本はなくなりません。それはこの綴じ合わせた姿を愛おしく思う人が多くいる証拠ですね。
ルリユール(reliure)の語源はもう一度~するを意味する「re-」と、(糸で)綴じるの「lieur」を組み合わせたフランス語です。
幼い頃に贈られた大切な一冊、自分のために選んだ宝物の一冊。みなさんも記憶に残る“本”ありませんか?いまいちど一冊一冊と丁寧に向き合ってみるのはいかがでしょう手持ちの本は過去の自分からの贈り物です。大切な本と再会してみませんか?
◆参考文献◆

『西洋製本図鑑』(雄松堂出版・2008)
:西南学院大学文学部外国語学科フランス語専攻研究旅行(https://bit.ly/2MjG25a 

 

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